ハラスメント担当者の心得?
ハラスメント対策を導入し、実際に事案が発生すると、ハラスメント対策の担当者が主に実務を行うことになります。
中小規模の会社では、労務問題の専門家や経験者などがいることは少ないため、ハラスメント相談があるとその相談に乗ったり、ハラスメント関係者のヒアリングを行うのはハラスメントの知識も対応の経験もほとんどない方が行うケースがほとんどだと思います。
まぁ、話を聴くだけだからどうにかなるでしょ、となればいいのですが、かなり大変な経験をすることもあります。
そんなわけで、ハラスメントに関するヒアリングをする際にハラスメント担当者としての心構えのポイントを3点に絞ってお伝えしたいと思います。
ハラスメント対応担当者への研修などができていない場合は、ぜひご参考になさってください。
もくじ
ハラスメント担当者としての心構え(その1)
さて、実際に業務の中でハラスメントの相談者や被害者の話しを聴くと、時に驚くようなことが出てきて、誰を信じていいか分からなくなることがあります。
また、ハラスメント行為者や当該ハラスメントの目撃者の話を聴いて、ショックを受けることも度々出てきます。いろんな人の話を聴いて、訳が分からず混乱したり、どうしたらいいか分からなくなったり、信じていた人がひどい一面を持っていたことを知ってショックを受けたり、ハラスメント行為が社内で起こっていることに気づけなかった自分を責めたりと、こころの負担がかなり重たくなることがあります。
そんな時、実際にどんな顔をしてハラスメントに関しての話を聴けばいいのか、明日からどうやってハラスメントの被害者や行為者とコミュニケーションを取ればいいのか、悩んでしまうことも多々あります。
個人としての自分と、ハラスメント担当者としての自分のバランスのとり方が分からなくなってしまうのですね。
そんな時は、
① 自分は仕事としてハラスメントの話を聴いたり、ハラスメントの事実確認をしているだけだという自覚を持つ
ということが大事です。
つまり、個人的な思いで誰かのことをのぞき見したいと思ってハラスメントに関する話を詳しく聴いているわけでもないし、個人の判断でそのハラスメント事案は誰が悪いと決めつけたり、誰かの人生を左右する決断をしているわけではないということを、はっきりと自覚するということです。
ハラスメントの相談に乗る時は、ひとつのハラスメントの出来事に対して相談されることは少ないのです。それまでにあったいろんなことを持ち出してたまりにたまっているストーリーがあり、最後に何か我慢できなくなるきっかけによってハラスメント相談につながるケースが多々あります。
またハラスメントの事案の中には、話がこじれていたり、プライベートなことにまで及んでいたりすることも多く、「そんなことまで聴いていいのかな?」「ここまで聴く必要あるのかな?」と思うことも出てきます。
が、自分が話せと言っているわけではなく相手が必要だと思って話しているのであれば、しっかりと聴きましょう。
気になる場合は「色々と話してくださっていますが、そこまで深くお聴きしても大丈夫でしょうか?」と念のため確認してみるのもひとつの方法です。
また、証言なども含めて話を聴いた後にハラスメントだったのかどうかと判定するときも、ご自身が好きで判定しているのではなく、ハラスメント担当だからしているのだとはっきりと自覚してみるとこころの負担が少しは減るのではと思います。
自ら警察官や裁判官などになった人は、自分が人の行為の善悪を判断することを積極的に引き受けようと思った人たちだと思いますが、皆さんは会社の命令で仕事をしているだけです。
また、実際にそのハラスメント行為をした人が問題なのであり、ハラスメントの判断をする皆さんには何も悪いところはありませんので、その点もしっかりと理解しておくようにしましょう。
何度も何度も自分に言い聞かせたり、他の担当者とも話して、納得していくこともよいと思います。
ハラスメント担当者としての心構え(その2)
そしてハラスメント担当者としての心構えの2つめです。
② 人には様々な面があり、これまで自分との関係で見えていた一面もその方の本当の一面であり、それ以外に自分が知らない面があるのもまた事実であると整理して捉える
ハラスメント相談者や行為者にヒアリングをしていると、とても嫌な面が見えてくることがあります。
ハラスメント行為の内容を相談者から聴いていくと、それまで行為者であるその人のことをすごく良い人だと思っていたのに・・・と、裏切られた気分になったり、ショックを受けることもあります。
そんな時に頭の片隅に置いていただきたいのが、「誰しも色々な面を持っている」ということです。
いい面も悪い面も含めて、その人なのです。
自分だってそうですよね。
普段はいい人でもむしゃくしゃしていたら優しくできないときもあるかもしれません。
わざわざ悪い面を隠していたわけでもないと思います。
職場は仕事をするところなので、わざわざ積極的に悪い面を出す人は少ないのが当たり前です。
そういうご自身も、なるべく悪い面は出さないように注意されているのではないでしょうか?
ハラスメント行為に及んでしまうような、普通のコミュニケーションができなくなってしまった原因は何だったのか?また、すごくいい人だと思っていたのにひどいハラスメントの言動をしていたという場合は、いったいなにが原因でハラスメントに至ってしまったのか?
そんなことに意識を向けると、ハラスメントが起きてきた要因や背景の理解につながるかもしれません。
ハラスメント担当者としての心構え(その3)
最後に、ハラスメント担当者としての心構えの3つめです。
③ 分からないこと、モヤモヤすること、気になることは腑に落ちるまで聴いてしまう
ハラスメントのヒアリングをしていて、分からないこと、モヤモヤすること、気になることが出てくることがあります。
ここまで突っ込んでハラスメントについて聴いていいのだろうか?
きっとこれは答えるのを嫌がるのではないだろうか、、、そんなケースも多々あります。
ですが、自分がしっかりとハラスメント担当者としてハラスメント相談者やハラスメント行為者に話を聴いていかないと、誤った判断につながる可能性もあります。
そんな時は
「正しく理解するために、もう一度お話ししてもらえませんか?」
「こういう意味でおっしゃっていますか?」
「それは具体的にどういうことでしょうか?」
「なぜそう思ったのですか?」
などと、しっかりと聴いていきましょう。
今回は、ハラスメント担当者がハラスメント被害者や加害者からヒアリングをするときによく悩んだり、迷ったり、不安になる事例から絞ってお伝えしてみました。
この他にもハラスメントに関連して「こんな時はどうすればいいの?」「ハラスメント担当者にどんな教育や研修をしてあげればいいの?」などのご質問やご相談がありましたら、ぜひお気軽にお問合せくださいね。
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