社員さんに発達障害があるのかな?と思ったら
もくじ
ADHDやASD・・・発達障害のある社員さんと一緒に働くポイント
先日、JTBコミュニケーションデザイン主催のオンデマンドのイベント
「ADHD・ASDフォーラム」
にて発達障害のある社員さんと一緒に働いていくためのポイントについてお話をさせていただきました。
※無料なので、気になる方はぜひご視聴ください。コチラから。
時々残念なお話を聴くことがあります。
発達障害のある社員さんと働いたときにとても大変だったので、もうこれ以上は一緒に働くのは難しいというお話しです。
そういう話をされる方は、だいたい相手を一生懸命に理解しようとして、自分なりにたくさん勉強したり、悩んだりした経験がある方のような気がします。
歩み寄ろうとする姿勢があるだけに辛いですし、相手の方にとってももったいない経験になってしまったのかなと思います。
発達障害は、同じ障害名がついていても現れ方は人によって差があり、本で読んだりワークショップなどに参加したりしても、それだけでうまくやっていけるようになるのは難しいところがあります。
ですが、私たちが諦めなければ一緒にやっていく方法を見つけることはできると思います。
絶対にとは保証できませんが、それはそもそも健常者どうしでも言えることですね。
このあたり、思いつめ過ぎずに落ち着いて現実的に考えていきたいところです。
今回は、中小企業をはじめとした会社で働く上司や同僚、相談に乗る人事担当者の方に向けて、発達障害のある方と一緒に働くヒントになりそうなことをお伝えします。
発達障害のある社員と働くための大前提の考え方
発達障害のある方々と一緒に働くうえでの大前提を、私はこんな風にとらえています。
① 障害の影響と個人の性格は別物であることを理解する
好きで問題(となる)行動を起こしているわけではないことを理解する。
障害がある故に支障が出ている部分もあれば、性格などに起因する場合もある。
② きちんと働きたいという意思を持っていることを理解する
ご自身をどう適応させていくか、どう能力を発揮していくかが鍵
③ 障害をつくりだしているのは自分たちかもしれないことを知っておく
自分たち(大多数)のやりやすさを優先すると、それに合わない人を排除することになっている場合もある。
それでは順番に考えていきましょう。
① 障害の影響と個人の性格は別物であることを理解する
例えば、ADHD(注意欠如・多動性障害)の特性で常に落ち着いてひとつの仕事に集中することができず、なにかやっては次の仕事に手をつけ、それが途中なのにまた違うことに手をつけ、それも途中のまま別の仕事に手をつける、という方がいました。
ひとつずつ片付けてから次のことをやるのですよと言われて育ち、それがちゃんとできる人からしたら、おかしな仕事の仕方かもしれません。
でもご本人は、適当にやっているとか途中で前の仕事を投げ出して次の仕事に移っているとか、そういうことではないのです。
話を聴けば、とてもまじめで熱心で休みの日も仕事についても勉強していたり、仕事に役立つ習い事をしていたりします。
ただ、ADHDの障害の特性で長い間ひとつのことに集中するのが難しかったり、飽きてしまうと苦痛になってしまうので、そうならないように短時間で区切って集中しながら飽きないようにしているだけで、途中で止めておいた仕事もまたきちんと処理して、期限内には終わらせるようにしているのです。
ADHD特性に合わせて自分できちんと考えて、仕事に取り組んでいるわけです。
またASD(自閉症スペクトラム、アスペルガー症候群)のある方で、自分のやりやすい手順でないと処理ができない方がいました。
他の方は一連の処理をするのに7ステップで終わるのですが、その方の場合は12ステップほど必要になります。
7ステップに合わせようとすると、どうしても混乱してしまったり見落としが出てしまったり、そういうことがあると不安が出てきてしまって余計にミスが増えてしまうのです。
周りの方も修正が大変になったり、余計に全体のスケジュールが遅れてしまうことにもなるのです。
この方も、とてもまじめで責任感が強い性格をお持ちでした。
だからこそ、7ステップには合わせられないけれども、せめて12ステップで確実に処理することで、自分のできる範囲では最高のパフォーマンスを発揮されていたのです。
お2人とも、発達障害がなければ、他の方々のような働き方ができるのかもしれません。でも障害を持ちながら働くという条件下では、最大のパフォーマンスを発揮できるように、努力をされています。
頭では「普通に合わせる」ことも理解はできるけど、実行が難しいだけに、大変な思いや悔しい思いをしたり、傷ついていることもたくさんあります。
障害がゆえにできることやできる方法に限度を感じることがあったり、他の人と同じようなことができない場合もあります。でもそれは、怠けているから、我がままだからではない人もたくさんいます(もちろん怠けている人もいるかもしれません…それは注意しましょう)。
障害とは関係なく、性格はそれぞれだということ、なかなかうまく伝えられないのですが、少しでも伝わったら嬉しいです。
② きちんと働きたいという意思を持っていることを理解する
これも誤解を受けていることが多いように感じます。
もちろん、働きたくないとか適当にやって楽をしたいという人もたくさんいるとは思いますが、それは健常者でも同じですよね(笑)むしろ健全な考えかもしれません(笑)
冗談はさておき、こんな誤解を受けているケースが時々あります。
ADHDの方でよく指示を忘れてしまうことがあります。
メモを取ることも忘れてしまったり、メモを取っていたことを失念して同じことを聴いてしまったりするので、周りの方は
「あの人、やる気あるのかしら」
「とにかく適当で、ちゃんとやろうなんて思ってない人ですよね」
なんて思っているというケース…
口を開けば「すみません」「気をつけます」と言ってるけど、全然改善されないから、適当な感じに言い逃れしていてずるいよね、なんて言われてしまっていることも。。。
でも、この方にお話しを伺うと、とにかく一生懸命に働いて一人前の仕事ができるようになりたいと痛切に思っているのです。
だからこそ、友達と遊びに行きたい日でも、翌日の仕事に響かないようにと誘いを断ってきちんと家に帰って疲れをとるために早めに寝たり、早めに出社してできることを少しでも片付けようとしていたりするのです。
メモをとっていたことを指摘され、確かにメモ帳を見たら書いてある時の恥ずかしさ、自分で気づけない情けなさ、信頼を失ってしまうことの恐怖や周りからの見る目に対するみじめさなど、想像ができますか?私はこうしてブログを書いていても、胸が痛みます。
またASDの方でも、こんな方がいました。
正義感が強い上に、障害の特性上、こだわりが強くてなかなか適度に周りに合わせるのが苦手な方でした。
小さなことでも気になるところがあるため何か指示をもらうと「自分で完璧にできるだろうか。初めてなので無理かもしれない」と思うと「自分にはできません」「〇〇さんの方が適任だと思います」などと言ってしまうのです。
上司はそれも分かった上でその方にやってもらおうと指示を出しているのです。
しかし、
そうした上司の意向に気付けずに、恥を忍んで正直に「自分にはできません」と言ったり、
〇〇さんに迷惑になるかも・・・とまでは思いが及ばずに、ただ適任だと言う点から「〇〇さんの方がいいのでは」と
言ってしまっているだけなのです。
とてもまじめで、自分ができないことも受け入れながら一生懸命に会社にとっての最善策を考えている方なのです。
でもその人の特性を知らない周囲の人は
「あの人、また仕事から逃げてる」
「自分が嫌だからって誰かにやらせようとして、ひどいよね。やる気ないなら辞めればいいのにね。」
などと言ってしまうのです。
やりたくないわけではなく、
やりたいけど迷惑をかけることも自覚して一番いい方法を考えている、
そして自分にできる努力をしている方達であり、
決して働きたくないとか怠けようとしているわけではないこと、少しは伝わりますでしょうか?
③ 障害をつくりだしているのは自分たちかもしれないことを知っておく
発達障害をお持ちの方は、ひとことで言うと大多数の方たちと物事の受け取り方や取り組み方が違うことが多いという特徴があります。
もし、発達障害の方の方が多ければ、その感覚が一般的なものとなるわけです。
先に挙げた事例の方々も、自分なりのやり方でよければ、最後までやれる方もいます。
集中力が続かない方なら普通は一人で10ステップやるのではなく3ステップずつに分けることを認めるとか、忘れやすい方には常に誰かがひとこと声をかけてあげるとか、そんな工夫次第で戦力になる方も大勢います。
ですが、厳然とみんなと同じやり方を求めたり、声掛けなしに一人でやりきることを求めてしまうと、とたんにそういう方は「できない人」になってしまいます。
そうしているのは周りなのだ、というケースも多いのです。
「そのやり方じゃないとダメ」
「声掛けなしでやらないとダメ」
ということにこだわり過ぎると、なんとなくASD的な感覚で、そうなるとどっちがどっちなのか分からなくなってきますが…自分たち(大多数)のやりやすさを優先すると、それに合わない人を排除することになっている場合もあるということを、ぜひ頭の片隅に置いていただけたらと思います。
そして、本当にそこにこだわらないといけないんだっけ?ということも、自問してみたり、周囲とも話し合ってみてください。
もしかしたら
「そこまでこだわらなくてもいっか」
「なんでそんなにこだわってたんだけ(笑)」
なんていうこともあるかもしれません。
そこに柔軟性が生まれるとき、皆さんの職場はより多様性を受け入れ、そのおかげでよりのびのびと自由な雰囲気が出てきて、きっと働きやすさにつながるはずです。
ひとりひとりが個性を出せると、きっと仕事にも自由な発想のアイディアがたくさん出てくるようになるのではと思います。
言葉で言うのは簡単ですが、ひとりひとりの障害特性と性格も違うので、実際に対応するのはなかなか難しいことも分かります。
そんな時は、ぜひ弊社へご相談くださいね。
また、管理職の方でこんなお悩みを抱える方もいると思います。
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