パワハラにならない指導のしかたとは?
こんにちは。スタッフの奥村です。
今回は、『パワハラにならない指導のしかた』についてお伝えしていきたいと思います。
もくじ
なぜパワハラのニュースを頻繁に目にするのか
最近、TVのニュースや情報番組でも【パワハラ】について取り上げられることが昔より多くなったなと感じます。
これは、パワハラに該当する言動をしてしまう人の数が昔より多くなったというよりは、2022年4月に労働施策総合推進法に基づく「パワーハラスメント防止措置」が中小企業の事業主にも義務化されたように、国としてハラスメント対策に重きを置き始め、相談窓口など相談ができる体制を企業が整えてきていることや、社員それぞれの意識も昔より高まった結果、潜在的なハラスメントの問題が顕在化され、ハラスメントの問題が多くなったと感じる要因となっているのではないかと考えています。
※ご参考)厚生労働省資料:労働施策総合推進法に基づく「パワーハラスメント防止措置」の義務化について
また、ひと昔前だったらハラスメントとは言われずに許されていたことが、最近ではハラスメントとして訴えられてしまうことが多くなったと感じている方も多いかもしれません。
厳しい指導方法を選択してしまうワケ
特に、今 40代後半以上の会社員の方は、
「上司から叩かれてなんぼ」
「厳しい指導は当たり前(仕方ない)」
という世界に身を置いて、社会人として上司や先輩から鍛えられ、育てられたという感覚を持っている方も多いと思います。
今振り返ってみれば、上司や先輩から厳しい指導をしてもらったからこそ、
「あの時は正直キツかったけど、今振り返ると、社会人とは、会社とはから始まり、仕事を厳しく叩き込んでくれたお陰で自分も部下を持つ身になれたんだな。感謝だな。」
と、厳しい指導を乗り越えた自分自身にも誇りを感じ、そんな風に誇りに思える自分を指導してくれた上司や先輩に対して感謝している人もまだまだ多いのではないでしょうか。
そのように「厳しく育てられたことで自分が成長できた」「厳しい指導に感謝」と感じている世代が、同じように今の時代に部下や同僚に厳しく指導をした結果、ハラスメントだと訴えられるということも実際に起きています。
指導を『パワハラ』と言われてしまいがちな原因
厳しさから学んだ世代からすると、たまったもんじゃないですよね。
良かれと思ってやっていることなのに、ハラスメントだと訴えられてしまうなんて悲しいことですし、こんなんじゃ、何も指導ができず途方に暮れてしまうかも知れません。
決して手厳しく指導をすることが全てNGというわけではないのですが、厳しく指導をする中で使われる言葉遣いや態度、語気が、ハラスメントと疑われやすくなるのだと個人的には思います。
例えば、厳しく指導しようとすると、声が大きくなりがちなので、それを人によっては指導を受けているとは受け止められず、「威嚇」「大声で叱責」をされただけと捉えられることもあるのです。
このように、上司は指導をしたつもりでも、部下にとってはそれが威嚇や厳しい叱責にしか聞こえず、部下にハラスメントだと言われてしまう背景に、上司から部下に対する一定の思い込みがある場合が多いものです。
例えば、
・部下は上司の言うこと(意見や考え)に素直に従うものだ
・過去に何度も教えたことができないのは気の緩みや甘えだ
・指示した通りに部下は仕事をするべきだ
・部下の言い訳は、上司に対する反抗だ
こんな風に、部下はこうあるべき、こうするべき、こういうものだという強い考えがあると、その通りにいっていない部下を目の前にすると、ついついイラついてしまったり、また上司としての威厳を保つことに重きをおいてしまい『声を張って時には怒鳴るくらいの指導者のほうが大事なことは伝わるものだ 』という考えも持っていたりすると、つい指導の声が大きくなってしまうものです。
部下にイライラする・・・そんなときは
こういう場合には、いったん深呼吸をしてまず冷静になってください。
怒りの感情を覚えた時に自分を冷静にするアンガーマネジメントでは、6秒ルールというのがあり、6秒間おくことで怒りをコントロールできると言われています。
ぜひ6秒以上、冷静になる時間を持ってください。
6秒の待ち方がとても重要です。
しっかりと頭の中で、いーち、にーい、さーん、よーん、ごーお、ろーく、と声を出して数えます。
数字をイメージしてしっかりと数字を脳内で見るのもいいですね。
すると気持ちと頭の怒りモードがほんの少し緩みます。
そうしたら、『まずは部下にもきちんと話を聴こう』と落ち着いた声で自分に語り掛けて、それから部下に話をしてみてください。
もし、部下の話を聴くうちにイライラしてしまうことが過去にある方でしたら、部下にも部下なりの考えやアイデアや判断があって、指示したことをやっていなかった場合もあるかもしれないし、自分(上司)が教えたことができない部下には、何か理解しにくい説明を自分がしていた可能性があるかもしれないなど、話を聴く前に想定できる色々な理由を自分の側で想定しておくのがオススメです。
そう すると「次に何を聴くか?」や「まずはひととおり最後まで聴いてみよう」という方に考えが周り、部下の返答に対する不要なイラつきも抑えられます。
もちろん、部下の話を聴き流すのではなく、きちんと傾聴して記録をしておくことも重要です。
パワハラにならない指導は誰にでもできる
聴いた内容を次の指導に活かすことも上司の仕事です。
『次に同じことが起きないように、どうしたらスムーズに仕事ができ、成果を出していけるのか、その方法を部下と一緒に作り上げていくんだ』という意識で部下に指導をし、上司も一緒に成長していくマインドで接していけば、パワハラとは無関係な指導方法になっているはずです。
実はお気づきのように、部下に指導するにあたって『イライラ』『威嚇』『大声』は必要ないものであり、更に言えば逆効果なのです。
自分で部下との関係を悪化させてしまうのは、上司としては絶対に避けたいところですね 。
ハラスメントと誤解されやすい不要な感情と指導方法は脇において、まずは相手のことを理解するために冷静に相手(部下)の話を聴き、聞いた内容を勘案して相手に合った適切なやり方や成果となるように導いてあげる上司になれば、大きな声を張らなくても尊敬する上司として部下は意識しはじめると思います。
そんな良い上司と部下の関係性が築けると強い組織にもなりますね。
上司としても部下のことが理解出来ると、安心してやりとりができることが増えて、一石二鳥でもあります 。
※場合によっては事故が起きる直前など話を聴く間もなく一瞬で大声での注意が必要となるようなシーンもありますが、ここでは大原則についてお話をしています。
まとめ
以上、パワハラにならない指導のしかたについてお伝えしてきましたがいかがでしたか?
怒りの感情は誰にでもあって当然のことですし、その感情が欠落していても人間らしくありません。
ただ、仕事をしていく関係性や組織の中で適切な人間関係を築き、ハラスメントにならないコミュニケーションをしていくためには、不要な怒りの感情があるということに気づいていただけたらと思います。
もし怒りのコントロールの仕方が難しく、ハラスメントと言われる事案が会社の中にある場合や、ハラスメントの起きない組織づくりのためにハラスメント研修を考えていらっしゃる場合には、『アンガーマネジメント』も取り入れた研修がおすすめです。
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