5月病対策はもう古い?オンボーディングでのメンタルケア
こんにちは。株式会社Sol La Chick(ソルラシック)代表の吉田です。
先日、とある方から「最近は新卒採用が減っていて、中途採用が多いみたいだけど、今でも企業では5月病ってあるんですか?」と質問をいただきました。
社内で新卒者数が多いとそれだけ休む人も増えて目立つと思うけれど、今は年間通して中途採用者が入ってくるのもあり、新卒者が5月に不調になっても目立たないのかな?という意味もあってのご質問でした。
皆さんの会社ではいかがでしょうか?
本日は、5月病などの不調が見られるこの時期に、企業でできる対策について考えていきたいと思います。
メンタル不調が発生する時期とは?
実際に5月病という病気があるわけではないので、増えているか減っているかは分からないのですが、私の肌感覚としては新卒社員さんの5月病はなくなったわけではないだろうなと感じています。
一方で企業からのご相談内容として増えているのが、「中途採用者が入社後に調子を崩してしまった」、「メンタル不調で休職された」というものです。入社数か月の場合もあれば、1年を過ぎてからというケースもあるようです。
いずれにしろ、産業医やEAPでの面談数が増えていて追いつかない状態で困っているという内容のご相談が続いています。
ということは、5月病というか「入社数か月病」とでも表現する方が現在には合っているのかもしれません。特に、入社1か月、3か月、半年、1年のタイミングで不調が出てくることは多いと思われます。最初の1カ月の山場のところが、いわゆる5月病ととらえることができますね。この適応するまでの期間の対策として「オンボーディングでのメンタルヘルス対策」について考えてみたいと思います。
オンボーディング期間に企業がとるべきメンタルヘルス対策のヒント
ここから見えてくる企業がとるべき対策はなんでしょうか?
答えは「入社間もない方が定着して、力を発揮できるまでの期間をいかにケアするか」です。
新卒・中途に限らず、人は大きな環境の変化には強いストレスを感じます。
人生の様々なステージの中でも、就職や転職は大きなイベントになります。
転職することが当たり前になった現在でも、キャリアを軽く考える人はあまりいませんよね。無駄な転職とならないように、ご自身の人生の選択を慎重にされています。
また1日の大半を費やすところに慣れていけるかどうか、一定期間は働き続けてお給料を安定的に稼いでいけるかどうか、といった心配は誰もが抱えるものです。見極めようとしている時は、余計に目線が評価的になり、小さなことでも気になってしまったり、会社や周りからどう評価されているのかが気になってしまうことも多く、このストレスも大きいものと言えます。そのため、この職場で働いていけそうだと安心できるようになるまでは、企業側もしっかりと対策をとることが有効だと考えます。
では、どんな対策がいいのでしょうか?
最近はリモートやワーケーションを取り入れる企業も増え、フレックスや様々な制度もあいまって、かなり柔軟な働き方をする方が増えています。そのため、対策も一律というわけにはいかなくなってきました。同じチームの人も直接会ったことはほとんどないというケースも増えています。一緒に働いている人がどんな人で、どんな仕事の仕方をしているのかなども見えないと、チームワークを発揮するのにもなかなか難しいと言えます。
多くの企業が取り入れているものとしては、1on1が多いようです。なんでも話せる関係をつくり、小まめに話す機会をもって、互いに共通理解を深めて安心して仕事ができるようにという狙いでしょうか。また朝礼を徹底したり、チームミーティングをオンラインで行う際にもなるべくお互いを知ることができるよう、顔出しを必須にしているなどの工夫も聴きます。
ストレスの中でも多いのは「不安」という感情ですが、その大元は「分からない」というところにあります。
人は「分からない」より「分かっている」方が安心できるのです。そのため、チームについて、チームのメンバーについて「分かる」ようにしていく機会を増やすことは、効果的な対策と言えますね。
またセルフケア研修やラインケア研修もありますが、定期的に継続している企業はまだ少ないようです。
オンボーディング期間の方を対象に行う場合は、特に今はストレスを感じやすい時期であるということを知るだけでも、大きな違いがあります。自分だけがおかしいのではないか、もっと頑張らないといけないのではないかという間違った考えのもと、自分をどんどん追い詰めてしまう人がいますが、そうではなく今はストレスを感じるのが当たり前の時期であり、それが正常な反応だと知るだけでも気持ちが楽になる方は多いでしょう。
ラインケア研修では、特にそういう方々を理解し、チームとしてコミュニケーションの機会を増やし「いつでも気軽に相談できる」「小さなことでも安心して訊ける」といったチームを作ることが重要な管理職の仕事であること、管理職自身が身をもって示していくのも大事であることを伝えていきましょう。
またメンター制度などを取り入れて、上下のラインやチーム内の関係だけでなく、斜めの関係なども積極的に作っているところや、色々なイベントを通して様々な部署の人と交流が図れるようにしているなどの対策もありますね。
人のつながりを増やし、働きやすい環境をつくることが狙いです。
慣れないかもしれませんが、定例ミーティング開始時に、それぞれがお題に対して一言ずつ発信してお互いをちょっとだけ知ってみてから本題に入るなども、やってみると良いと思います。(お題例:小さい頃なりたかった職業は?最近心に残った景色。今1か月休めるとしたらなにをしたい?など)
いずれにしろ、ストレスを抱えている人が孤立してしまうのが一番のリスクです。
誰でもいいのでちょっとした相談ができたり、ストレスを吐き出せたりすることは、ストレス対処として非常に重要です。
入社直後はとくに相談できる関係がまだ少ない為、その期間は様々な機会を用意して対策をしてみてはいかがでしょうか?
またカウンセラーとも入社3か月以内に一度は話をする機会を取り入れてみるのもおススメです。
いざ困ってしまったり思い詰めてしまった時に思いだして相談につながることがあるので、ぜひやってみてください。一度話したことがある、顔を見たことがあるというだけでも安心材料になります。カウンセリングを勧められると「どんな相手かも知らないのに自分のことをさらけ出すなんて嫌だ」「知らない人に話してこれ以上傷ついたらどうしよう」などと考える人は多くいます。ですので、カウンセリングを勧めるときに「あの時に一度おしゃべりした人だよ」と言えると、「あ~あの時の~~~な感じの人だな」と思え、「そんなに嫌でもなかったから一度話してみようかな」などとなりやすいのではと思います。
カウンセラーと1人ずつ話していくほどの予算が取れない場合は、例えば4半期や半年ごとに入社した方を集め、カウンセラーとプチ研修などをしてみるのもいいですね。似たような境遇の人との横のつながりもでき、カウンセラーとの接点もできるので、一石二鳥です。さらにこういう新しい環境に適応する期間はストレスが強まること、それ以外にもストレスについて学んだり、対処について正しい知識を得ることができると、今後長い目で見た時にも健康管理大きく貢献すると思います。
みんなでワイワイしながら研修を受けて、楽しかったなという印象が残ると、参加メンバーや会社自体、またカウンセラーへの印象も良いものとなります。エンゲージメントも上がりそうで、そうなると一石何鳥にもなりますね。
ぜひ、今の時代にあわせた5月病対策ならぬオンボーディングでメンバーのメンタルヘルス対策をして、せっかく採用した方が長く活躍できるように環境づくりをしてみてください。