復職者を迎える準備について
だいぶ久しぶりになりました、株式会社ソルラシック・代表の吉田です。
お伝えしたいことはたくさんあるのですが、なかなかまとめられず、、、そんなことを言っている間にも困っている方がいるので頑張らねば…。
ということで、4月から復職する方も多い時期かと思い、本日は今からできる準備についてお伝えします。
もくじ
復職を判断するために何を確認すべきか
まず人事の担当者や復職を判断する経営者の方は、復職を判断するときに以下の観点からチェックしてください。
会社として復職後の安定就労を確認できているか
どの企業でも増えているのが、再休職の問題です。
再休職に至る理由は様々ですが、私が見聞きするなかでは、やはり最初にメンタルダウンしたときにきちんと課題と向き合って対策をとらなかったために、復職後に同じ原因で不調を繰り返し、更に悪化しているケースが多いと見ています。
そのため、休職する都度、その間にしっかりと課題に取り組んで、復職時には同じことで仕事に影響が出るほどにならないよう、コントロールできるようになっていることを確認することが重要です。
復職後の安定就労の確認方法
復職後を現実的に想定しておく
復職後の安定就労をどのように確認するかですが、大事なのは現時点で可能な限り復職後を現実的に想定して確認することです。
実際には働いてみないと分からないというのは一度脇へ置いてくださいね。
まずは生活リズムが整い、通勤を含めて1日の半分近くを仕事に使っても問題ない体力や思考力、対人関係のストレス耐性がついているかどうか見ていきましょう。
生活リズム表に頼り切らない確認を
休職者から生活リズム表などの提出を求めて確認している会社は多いと思います。
リズム表を見ると、毎日7時に起きて9時には活動できている、などが書かれていて「よし、復職できそう」と判断しますよね。
でも、本当に7時に起きているかは分かりません。
以前、毎月現状確認のための面談の直前にまとめて1か月分を記載されている方がいました。
その方とは生活リズム表をデータで共有していてこまめにチェックしていたので判明したのですが、面談時だけ書類を見てそれを鵜呑みにしていたら分からないままでした。
また、リワークに行かれている場合は、リワークの方から利用状況を確認できるので、毎日定時に通えているのか、欠席や遅刻などがどのくらいあるのか、実態を確認できます。
仕事をするにはまずここが整っていてこそ、です。
できるだけ実態を把握して判断しましょう。
日中にやっていることを見てみるのも大切です。
どんな風に過ごしているのか、リアルな感想や取り組み内容が分かるはずですので、聴いてみましょう。
図書館へ行っていると書かれていたら、
何図書館に行っているのか?
徒歩や自転車でどれくらいの時間がかかるのか?
どんな本を読んだのか?
なぜその本を読んでみようと思ったのか?
実際に読んでみてどうだったのか?
など、色々と聴いていくと、計画性や思考力や記憶力などもどのくらい回復しているのか見えてきます。
また分かりやすく説明できているか、落ち着いて話せているかなど、コミュニケーションの回復状況も分かります。
休職原因を押さえて対策ができるようになっているか
次に確認したいのは、休職の原因をきちんと押さえて対策ができるようになっているかどうかです。
忙しい職場なので遠慮してしまって相談できず悩むことが増えてストレスを溜めてしまったり、まじめな性格から自分が全てやらないといけないと自らを追い込んでしまい苦しくなって出社できなくなるなど、いろんなケースがあります。
少しは遠慮も必要ですし、責任をもって自分でやっていくことも大事です。
でも健康を壊すまでやる必要はなく、仕事をするうえで必要であれば周囲と適切な報連相をしたり、自分を追い込む前にキャパシティを広げる努力や誰かを頼るなども必要な選択になります。
なぜ自分が今回のように辛くなってしまう選択をしてきたのか
今度はそうしないためにどんな風に考えたり行動するのか
これを丁寧に聞き出し、本当に再発せずに働けるという確認をとりましょう。
例えば「なんて聞いていいか分からなかった」という方であれば、聴くときの話しかけ方が分かるようになっただけで問題なくやれそうという方もいます。
質問すると「こんなことも知らないのか」と自分の評価が下がるのが怖くて聞けないという方も多いです。
聴かずに悪あがきしている間に時間が経ち、どんどん状況が悪化して結果的に評価を更に下げてしまうことになっている点に目を向けたり、自分にはできている点もたくさんあることに目を向けて認知を修正するなどができるようになっていると安心です。
「上司が忙しい方なので、ひとまずチャットで相談したいことがあると伝えるようにします」
「分からないことも自分で調べられるようになりたいので、調べ方や学び方を教えてくださいと言えるようにします」
「困ったらすぐに先輩に質問し、問題を止めたり先送りせずにクリアしていきます」
「遅れそうな時は、すぐに報告して指示をもらいます」
なんて話ができていれば、ひと安心できますね。
自分自身の体調へのケアができるようになっているかを確認
ストレスが体調に出やすい方であれば、体調のケアについてもできるようになっているか確認する必要もあります。
こういった点をひとつひとつ丁寧に確認していきましょう。
確認する際には、法律上の観点からも健康でやっていけると確認が取れないと復職はさせられないことを明確に伝え、会社が興味本位で私生活などを聞き出そうとしているわけではないことを説明しておきます。
復職面談時の反応を見る
口調や表情を柔らかめにして、詰問するような雰囲気にならないように気をつけましょう。
配慮しながら話をしていても、こちらの説明を聞かずに怒りだしてしまったり、涙目になってしまう方がいます。
そのような場合は、まだ精神的に安定していない可能性が高いとも考えられるので、再度産業医や産業保健スタッフに相談して復職のタイミングについて考え直すことも必要です。
時には主治医にも現状を説明し、本当に復職させても大丈夫なのかどうか、再度意見をもらうことも検討します。
中途半端な状態で復職することは、症状を悪化させる場合もあります。
キャリアの面からも複数回の休職となるのは避けてあげたいところです。
会社としてもリスクがあるのに復職させたとなると、何か問題が起きた時には責めを負うことになるため、きちんと確認することが全員にとって良い結果につながります。
休職期間満了による自然退職の際には
場合によっては休職期間満了による自然退職になってしまうこともあり、家族を養う立場を思うと復職させてあげたくなることもあります。その場合は、退職後に健康を回復できた段階で再雇用の道を残してあげるなど、別途対応を考えてみるのもひとつです。
社労士さんなどと相談し、退職日から1年間は以前の処遇を保証するなど、何かしらご提案できるように動いてみてはいかがでしょうか。
退職後の手続きや利用できる医療・福祉・ハローワークのサポートなどもありますので、そういうことを丁寧に案内してあげることも、大きな支えになります。
復職者の仕事や受け入れ態勢を整える
話しの内容から、体力も思考力や判断力、コミュニケーション力など全般的に問題なく整っている場合は、いつからどのような仕事をしていくか、検討に入っていくことができます。
このように、社員さんがすべきことをしっかりとできているか確認するとともに、会社としても受け入れ態勢を整える必要があります。
メンタル不調を職場に公表せずに休職している場合は、何と言って長期休職から復職させるのか、一定期間残業免除などの配慮をする場合はどのように説明するのかなど、考えておく必要があります。
本人の了解を得ずに勝手に病気のことを話すことはできないので、注意しましょう。
職場にも不調を招いた要因がある場合は、その対策をしておく必要もあります。
業務量が多かったり、レベルが高過ぎて無理な仕事をさせていた場合は、人員を補充したり業務や担当の見直しをするなど、会社側の改善も必要です。
部署の責任者とよく話し合い、現状を理解して対策を考えましょう。
責任者や職場の同僚などの人間関係が一因の場合もあります。
キツイ口調や威圧的な態度などが原因だったりする場合、両方の話しを聴いたうえで、指導が必要な場合ははっきりと改善指導をしておきます。
責任者は、自分のせいで部下が休職したのではないかと不安や責任を感じているケースも多くあります。気になることを相談してもらいながら、過去を責めるのではなく、全員にとってよりよい職場をつくるために何が必要かを一緒に考えて実現しようというアプローチをしていきましょう。
以上、復職者を迎える準備についてお話ししてきましたが、いかがでしたか?
また、人事担当者の皆様から特にリクエストが多いのは、人事が対応する「面談のしかた」についてです。
復職者を迎える時の面談については本日のブログでも触れていますが、人事担当者としてメンタルダウンした社員や悩み等を持つ社員と面談をする前に知っておいて欲しいことについては、こちら↓のブログにまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。
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