リモートワーク中のチームビルディング
意図せずリモートワークが始まり、なし崩し的にそれが増えていき、いつもできていたコミュニケーションがとれなくなった弊害のひとつに、どうやってチームとしてまとまるか?という課題があります。
最近のこころのフィットネスの方のブログで、周りの人と積極的におしゃべりしましょうというお話を書きましたが、これもnewnormal(?)の世界では普通のことになっていくと思います。
【こころのフィットネス ~ 誰でもできる、読んでやってみるセルフケア ~】 ストレスを溜めやすい人は積極的におしゃべりしよう |
これまではいつでも周りに人がいて、気軽に話せる環境があって、逆におしゃべりしすぎて仕事がはかどらないことを心配して「私語禁止」のような暗黙のルールがほとんどの会社にあったのではないでしょうか。
しかし、人と会うことがなくなってきて初めてその価値に気づくことも増えています。
もくじ
リモートワークの長期化から見えてきた問題点・課題
リモートワークなどで人と会うことが減って失われはじめた価値として、ご相談から見えてきたものとしては、以下のようなものがあります。
- 気軽なやりとりが減り、知らずにできていた気分転換ができなくなる(生産性低下)
- 仕事に集中し続けるため息が詰まる(生産性低下)
- 他の人の状態が見えず、様子が分からないため声をかけたり相談しにくい(チームワーク低下)
- 他の人と話したり仕事ぶりを見ることができないので、無意識に誰かを参考にしたり、ヒントや意見を気軽に得ることができない(成長促進機会の喪失)
- テキストベースのコミュニケーションが増え、温度感やニュアンスが伝わりにくい(人間関係の希薄化による信頼関係の低下)
どれも企業にとっては大きな痛手ではないでしょうか。
この課題に対する打ち手として、どんなことをしていくかが、今後の企業の成長を左右する大きなポイントになってくると思います。
これまで「私語を慎むことが良いことだ」という価値観で何十年も働いてきた人たちにとって、環境が変わったからと言って急に「よし、これからは積極的にコミュニケーションを取ったり、雑談をしていかないと人間関係が築けないから、自分から話しかけよう」と思い直し、アクションを起こせるでしょうか?
答えは「否」です。
リモートでもコミュニケーションよくチームとして働くためには
コロナでメンタル不調を来した方のご相談を聴いていて、もっとコミュニケーションをとる必要があると気づかれた方でも、自分から動くのは難しいとお話しされます。
他の人たちとこの新たな価値観を共有できていないので、自分だけがそう思っているのではないかと思ってしまったり、相手にとっては迷惑なのではないかと思って躊躇してしまうからです。
ここで大事なのは、個人の努力も必要ですが、会社としても取り組むことになってきます。
そうです、皆さん人事や経営者の出番です。
新たな働き方として必要なことは、何度も何度もしつこいくらいに、あの手この手で発信していきましょう!
何しろ、何十年もかけて作ってきた価値観や風土を変えるのです。遠慮なくやっていって構いません。(じゃないと変わりません。変われないとその先に待っているのは怖い結果だと思います。。)
社員の皆さんが、離れて仕事をしていても、安心して気持ちよくコミュニケーションを取り、お互いのことを理解してチームとして働くために、こんなことが必要になりそうです。
- タスクの見える化、共有化
- 考えていることの言語化と共有化
- 察することは強要しない(見えないんだから当たり前)
- 自分から発信することを推奨(小さなことでも!むしろ小さなことから)
- 自分のペースも相手のペースも大事にする
- コミュニケーションをとれる場をたくさん設ける
- 評価ポイントの見直し(これまでと違い、テキストベースになると正確に伝えるためにかなり時間がかかったり、電話では数分で済む調整に何倍もの時間がかかることも)
これを実際にやろうとすると、どんな方法が考えられるでしょうか?
チームビルディングに必要なことをどうやって実践していけばよいか
ベタですが有効な方法として、
オンライン会議システムを使った朝礼と夕礼の徹底、
スケジュール管理ソフトを使っての各自の進捗状況の共有、
息抜きの時間を意図的につくりおしゃべりしやすい時間を設ける、
などがまずはやりやすいかと思います。
朝礼夕礼では、いつもより時間をかけて、うまくいっている点・そうでない点などについて、その理由や対策まで具体的に伝えるようにしたり、話を聴いた他のメンバーの中から必ず二人ぐらいにコメントや質問、アドバイスなどをフィードバックしてもらうようにすると、双方向コミュニケーションが図れ、更にそれぞれがどんな考えを持つ人なのかも分かるようになっていきます。
そうすると、朝礼・夕礼以外でもちょっとした相談がしたい時に、「あ、あの人いつもいいこと言ってくれるからな」などと思って、自分から相談をしやすい環境が醸成されていくのではないでしょうか。
フィードバックをする際のポイントとして、最初は「すごいと思いました」などだけでもOKとし、1か月くらいして慣れてきたら「更にひとこと」や「なぜそこがいいと思ったのか」など具体的な考えに踏み込んで話してもらうようにするのがお勧めです。
これは思考の明確化や言語化のトレーニングにもつながるからです。
リモートワークでは、顔を見て察することができない分、発信する側に求められるスキルが高くなります。
ですので、考えていること、聴いてみたいこと、相談したいこと、聴いてほしいことなど、一人一人が自分の内面を意識化して把握し言語化し、相手に合わせて伝えるというスキルが今までの何倍も必要となります。
また、お互いに状況が見えないので、互いのペースを尊重する姿勢も大切になります。
これはスピードという意味ではありません。これまでは「今、すごく集中してるみたいだから声をかけるのは後にしよう」とか「今ゆったりしてそうだから、ちょっと相談してみよう」などとペース配分を見て関われていたことができなくなっているので、気をつけようという意味です。
「こんなことでちょっと相談したいのですが、どこかで10分程度お時間をもらえませんか?」とか、
「行き詰っちゃったので、今週どこかでランチタイムにおしゃべりにつきあってもらせませんか?」、
「急に出た案件に対応をお願いしたんだけど、今日中にどこかで話しできる時間をつくってもらえるかな?」
など、余裕をもって相手と合わせるようにしていくなどが大事になるかと思います。
こんな風にコミュニケーションをとっていくといいですよ、ということを社員の皆さんへ発信していくのも、会社としては有効ではないでしょうか。(カウンセリングでは「そう言えばいいんですね!」と楽になられる方が大勢います)
できる人には当たり前の事でも、これまでのルールの中に適応しやすかった人にとっては、新たな環境に適応するために発想を変えるのは大変です。簡単なことでもサポートしてあげましょう。
チームビルディングのために管理職はどんな働きかけをすれば良いか
管理職もこれに合わせて色々と変えていくことが求められます。
なかなか合わない人たちをまとめてチームビルディングをするって、本当に大変です。
部下たちがどう働いているかが見えない中で、意識的に担当者同士がコミュニケーションを図れるように働きかけたり、誰かが漏れていないか常に目を配ったりする必要があります。
そのためには、一人一人がうまく言語化して自分からうまくコミュニケーションを取れるようになるまで、色々と引き出してあげることが求められます。
これまでもやっていたと思うかもしれませんが、今までより丁寧にやる必要が出てきていると思う方がいいかもしれません。
いつまでも面倒を見てあげる方法だと疲れてしまいますので、
「これについてはどう考えているの?」
「なるほど、色々と考えてその方法がいいと思ったんだよね。その色々と考えた内容の部分を聴かせてもらえると、自分にもよく分かるんだけど」
など、相手が「なるほど、もっとこういうことを話せば相手に伝わるんだな」と理解できるような引き出し方をしていくと、時間が経つうちに自分から必要なことを話せるようになっていくと思います。
相手が自分の思ったような反応をしない場合は、自分の働きかけを変えてみることが大切です。
人は放っておいても成長しません。手をかけることが大切です。しっかり手をかければ、だいたいの人は成長します。
何度も言いますが、何十年と培われてきた常識を覆していくのがこれからですので、慣れるまで時間がかかるのは当たり前です。
こういったことも、人事が管理職の相談に乗ったり、情報発信をしていけると助けになるのではないでしょうか。
研修をうまく利用するのも手
イライラしそうなときは、アンガーマネジメントなども取り入れて、焦らずにやるべきことにフォーカスしていけるような研修なども効果的かもしれません。
そういう意味では、コミュニケーション研修(アクティブリスニングや傾聴、アサーティブコミュニケーション、コンセンサス法など)やアンガーマネジメント研修は新しい時代の中で一番必要とされているものかもしれませんね。
<メンタルヘルスケア関連事業案内> メンタルヘルス研修他 オンライン研修でも可能な各種研修 |
新しい時代に合わせ、チーム全員で成長していけるようなサポートが、今の会社に求められていると思います。これもチャンスだと思って、やれるところから楽しんで進んでいきましょう!※疲れた時は、十分な休憩も大切に。