社員さんから、お子さんの問題で相談されたら
今回は、職場でのメンタルヘルスという視点から少しはずして、ビジネスパーソンではなく一個人としての部分に触れて、お話をしたいと思います。なぜなら、そういう部分も含めて、日々お仕事に向き合われているからで、プライベートの影響が仕事に出るのは当たり前だからです。
これを読んでくださっているのは人事担当者が多いかと思います。お子様の問題についてご自身も経験があれば、こういう悩みを持ちながら働く社員に寄り添いやすいと思いますが、同様の問題を抱えた経験がない方や対応方法までは思いつかない方にとって、何かの助けになれば幸いです。
さて、短かった夏休みが終わり、不登校の子供が増える時期になりました。まだまだ長いコロナとのせめぎあいが続く毎日のなかで、大人もこどもも相当なストレスが積もるばかりですね。
ストレスは弱いところへ行きがちなので、今年は余計にしんどいお子さんも多いのではと推察します。
そんななかで、お子さんが「学校に行きたくない」「調子が悪いから休む」ということが続くと、「親だってそんなに休んで見てあげられないんだから」「どうしよう。とにかく学校に行かせないと」「子どもも心配だけど仕事がヤバい。会社になんて言おう。こんなことを考えるなんて親失格かも」なんて考えてしまいますよね。
これって、仕事の負担より気持ちの負担の方が重たいくらいの時もあるのではと思います。
もし、そんな状況下にあり、お子様の問題で困っている社員さんから相談があったらぜひお話を聴いてあげてください。
では、お話しを聴くにあたって、どう対応したら良いのでしょうか。以下でお話ししていきます。
社員さんから、お子さんの問題で相談されたら
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もくじ
まずはお子様の問題について誰かに話そうと伝える
もしこんな状況にあったら、まずは1人でその気持ちを抱えず、誰かに話してほしいと伝えましょう。
あなたに話してくれるようであれば、ちゃんと聴くよと伝えましょう。
(※人事に話してくれているのもいいことだし、他にも話せる人がいたら、安心できる人に打ち明けるといいよ、と伝えるのも!)
子どもを思う気持ち、将来を考えると心配な気持ち、自分が悪かったのではという自責の念、仕事もきちんとしなければという焦りなど、たくさんのネガティブな気持ちが渦巻いていると思います。
まずは、それを言葉にしてくれるのを待ち、聴きましょう。
なかなか言葉にできなさそうだったら、「私が〇〇さんの立場だったら、こんなことを考えるかな」と言って、少し水を向けてみるのもいいかもしれません。
また、話してくれる内容については「いい・わるい」「正しい・間違っている」などの判断はせず「〇〇さんは、そう考えてるんですね。」「そういう気持ちだったんですね。辛かったですね」と、そのまま受け止めましょう。
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話すことの効果
話すことで気持ちが整理されたり、聴いてくれる人がいるだけで、安心できることもあります。
その社員さんがずっとネガティブな気持ちを抱えていると、お子さんはますます不安定になり、状況は悪化のスパイラルにどんどんはまってしまうと思います。
「プライベートの話は会社に持ち込まない」という考えもあるとは思いますが、時には話を聴くことで、全体がいい方向へいくのであれば、これも大事なことだと思って聴いてあげてください。
こんな思いをしているのは自分だけだと思っている方も多いので、例えば他の社員さんでも同じような相談があるのであれば、「あなただけじゃないから大丈夫」という声掛けもいいかもしれません。※守秘義務上、具体的な話は避けましょう。
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聴くだけでどうにもできないと思ったら
プライベートの問題は、本来は会社で解決することではありませんね。また、長時間にわたったり、何度も話を聴いても解決しいない場合は、人事としても負担になると思います。
そんな場合は、カウンセリングなどを勧めてみるのもひとつだと思います。
「自分が聴くことで何かになればいいのだが、なかなか難しいようなので、もう少し専門性のある人に相談してもいい頃ではないか」と伝えてみましょう。
同時に「見放すわけではないので、これからも話は聴かせてね」など、これからも関係を続けるということを明確に伝えてあげると、安心につながります。
うつっぽいのではないかと心配な場合は、産業医につないだり、受診を勧めるのもありですね。
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会社でできること
例えば、時間単位で有休が使えるような場合は、お子さんが落ち着くまで出社を遅らせたり、子どものいる社員向けのワークショップを企画する、似たような経験をした人同士(了承が取れれば)を紹介して話す場を設けるなど、できそうな案を検討してみるのもお勧めです。
会社ですべきところはどこまでかというと、今回挙げたような部分は法的な必須事項には該当しないと思います。
ただ、これから良い人材に集まってもらい、力を発揮してもらうには、少子高齢化や多様化による課題にどこまで対応していけるかが、会社の存続を大きく左右する時代になってきているとも思います。
社員さんの心身の健康と幸せは、会社の発展に直結すると思うと、お金や時間ををかけなくてもやれることから、ちょっとずつやってみませんか?