新しい働き方に伴うハラスメント事例から見えてきたもの
こんにちは、ちいさな会社のメンタル面を丁寧にサポートすることが大好きな、ソルラシックのよしだです。
東京はアラートが解除されて、企業の営業活動はこれからまた徐々に活動的になっていくと思われますが、皆さまの会社はいかがでしょうか?
安心して業績アップや動けなかった時間を取り戻すために動けそうですか?
この『安心して』というところが、企業の生産性やメンタルヘルス、ハラスメントには大きなキーワードですね。
さて、そんな中で、今回はメンタルヘルスと密接に関係するハラスメントについてお伝えしていきます。とくに新型コロナの影響で在宅ワークが増えてきたことに伴って、いわゆる『テレハラ』(テレワークハラスメント)と呼ばれるような色々なハラスメントが起きているようなので、そのあたりも含めてお話しをしていきますね。
もくじ
新しい働き方とハラスメント
まずは、最近耳にした「新しい働き方に伴って出ているハラスメント」の事例としては、こんなものがありました。
在宅で働いているときのことについて、会社からこんなことを言われるというものです。
- ずっとPCの前に座っていなければいけない(お手洗いへ行くのも断りを入れてから)
- カメラをつけっぱなしにしないといけない
- ずっとPCを動かしていないといけない
- 背景に映りこんでいるものに対して色々と言われる
- 着ているものについてとやかく言われる
私は、正直言って驚き呆れかえりました。
※弊社の顧問先ではこんなことはないです。知人から聞いた話です。
これ、何のためのルールなのでしょうか???はっきりと答えられますか?
これを守る事で何をしようとしているのでしょうか?
企業側、社員側、顧客、株主、それぞれの立場から考えて、得られるものは何でしょうか?
テレワーク中の社員の「管理」と「評価」のしかた
企業としては、社員を管理したい思いは分かります。でもその方法が非常に勿体ないです。
こんなことをすれば、社員にとっては会社から信頼されてない証をつきつけられているのと同意なので、気持ちよく働こうという気になれません。
「あなた、どうせサボりますよね。だから見張ってるんです」なんて言われて、ストレスを感じない人がいるでしょうか?
サボっていたら、業績を見て指導や評価をすればいいですし、1日の成果についてもきちっと報告する仕組みやそれに対するフィードバックの仕組みを入れればいいだけですね。
それをやらずに表面上だけを評価していたら、企業自ら社員のモチベーションをはぎとり、さらに「座っていればいい」「PCを触っていればい」という誤った価値観を植え付けかねません。
だいたいの方は当然やる気が出ず、業績もアップしないでしょうし、顧客にいいことはないでしょうし、売上や利益が上がらなければ株主にもいいことはありません。(もったいない)
人には考える時間も必要だし、場合によってはノートやメモ用紙に書きながら整理する方が向いている人もいますよね。そういうことを評価せずにただPCの操作時間とカメラ映っている時間をチェックして評価するなんて、勿体ない。
在宅勤務中もスーツ着用をルールにするべきか?
家で仕事をするのなら、環境に適した洋服を着るのも当たり前です。
ペットや小さいお子さんがいるならば、スーツを着て汚すわけにはいきません。椅子がないおうちの場合も、床に座るならスーツではちょっと厳しいですよね。
それでも着用を求める場合は、それなりに会社としても考えておかなければいけません。そもそもスーツって、なんのために着なければいけないことになってるのでしょう?
今のあなたの会社、職種にマストな理由が明確なのでしょうか?それくらいマストなら会社の必要経費として設定するくらいのはずですが、どうなのでしょう?
カジュアルな服装であっても、きちんと仕事をしていて他の面ではきちんと礼節を守れていれば、もしかしたら問題ないのかも?とは思えませんか?
新しい働き方で社員に求めるべきことを見直す
また、背景にいろいろと映り込んでいるとしても、個人の問題なのだから放っておくべきです。
仕事をする環境じゃないだろうと言いたい気持ちも分かりますが、家は仕事をするための事務所として借りている場所ではないので、当たり前ですね。
会社として社員へこういう仕打ちをしておきながら、「最近は自分で考える社員がいない」「自ら率先して動くように教育を」「もっと常識を教えろ」なんて言ったりするなんて、本末転倒でちょっと恥ずかしいかもしれません。。。
この先どうなるかは、もう書かなくても分かりますよね。
人事コンサルを入れろだの、採用の条件やプロセスを見直して求人サイトを変えろだの、研修を見直せだのなんだの、余計なコストが山のように。(やっぱりもったいない。。。)
でもきっと、そこにコストをかけても根本的な会社と社員の関係にアプローチしないので、お金は消えていく…(悲しいです。それならせめてお給料や賞与としてあげてほしい)。
コロナ禍におけるハラスメント事例から見えて来たものはなにか、もうお気づきですね。
それは、新しい働き方に伴い能力や評価の見直し、環境や条件の見直しが必要になるだろう、ということです。社員に求めるものはなにか、そしてそれをどう測っていくのか、大きく見直しが求められそうです。
ハラスメントもメンタル不調もなく生産性をあげるには
会社のルール(価値観や基準など)が明確であり、ひとりひとりが納得できる内容になるほど、ハラスメントは起きにくくなると思いませんか?そして、メンタルの問題も起きにくくなるとは思いませんか?
『PCの前に座っているべし』というルールが伝えるメッセージは『会社は社員を信用しない。常に見張っている。ずっと座っているのが良い社員だ』というものになります。
それよりは1日の成果と明日以降の行動予定を早めにシェアしてもらって、お互いに『よくやったね、お疲れさま』と労いあったり、『大変そうだね、手伝おうか』など声を掛け合う方が、よっぽど『会社は社員のことを大切に思ってるし、努力もちゃんと受け止めてるよ』というメッセージになります。
また『座っているべしルール』があると、上司としては注意せざるを得なくなっていきますよね。上司にしてみれば、あほみたいなルールだなと思っていても、立場上は仕方ありませんから、したくもない注意をしてみることになります。それで「ハラスメントだ」と訴えられたら、訴えた方も訴えられた方もくだらな過ぎて、本当にお気の毒です。
お金もコストもかかって勿体ないのはもちろんのこと(その時間、働けませんし)、なによりも会社を嫌いになったり仕事を嫌いになってしまって生産性が落ちたり、傷ついてこころの病にかかってしまうことは、絶対に防ぎたいです。
こんなルールが明文化されているところは少ないと思うので、今回挙げた事例については会社ぐるみと言うよりは個人が行っているケースもあると思います。ただ、個人がそのような言動を起こすには、やはり原因があると思います。会社はそこまで言ってないのに、というようなケースです。
そのようなことが起きないようにするためにも、やはりルールの根幹にある考え方や価値観まで含めて、社内でしっかりと共有をしておくこと、それを人事が上手に手伝い浸透させることが、とても大切なのではと思います。
人事ご担当者の皆さまへ
こうして考えるといつも思いますが、人事のお仕事は本当に大変ですが、やっぱりとても大切な仕事ですね。
他部署の方々からは、なかなか努力を理解してもらえなかったりすることもあるかもしれません。でも、みなさんがこうして日々情報収集し、自社に合った対策を考え、社員のみなさんのためを思ってお仕事をされているから、だいたいの社員さんは安心して働けているのだと思います。時には皆さんの苦労なんか知らずにのんきに文句を言えるのも、皆さんがいてくださるからこそ、ということも多そうです。
新しい生活様式という言葉が一人歩きしていますが、その実態はまだ固まっていません。当分は揺れ動きそうです。それに伴って新しい働き方もまだ当面は確定しないと思います。
不確定要素の多い中でやることはたくさんありますが、どうぞ自分に自信を持ってくださいね。
そして今日も一緒に進んでいきましょう!
今日もお読みいただき、ありがとうございました。