ハラスメント対策やメンタルヘルスケア対策にもなる「言語化」とは
もくじ
メンタル不調やハラスメントで困るビジネスパーソンが出ないために
昨年は色々なことに追われてしまい、ブログの更新が止まっておりました。
いっぱい書きたいことがあったのに、
みなさんへお伝えしたいことがあったのに、
不甲斐ない自分にちょっと腹が立ちますが、、、なにもかも完璧にいくということもあまりないのが現実かなぁと自分を慰めております。
今年はもう少しがんばって、メンタル不調やハラスメントで困る人が出ず、少しでも働きやすい会社が増えていくために、がんばります!!!
ハラスメント対策やメンタルヘルス対策に効果的な「言語化」
さて、今日は「言語化」について話をしてみたいと思います。
コミュニケーション研修のなかで、いま一番取り組むべきと考えているのが「言語化」というテーマになります。
ハラスメントも人間関係などが原因のメンタル不調も、「言語化」に大きな課題があると感じることが多いからです。企業も個人もここに取り組むことで、かなり問題を予防することができ「ハラスメント対策」「メンタルヘルスケア対策」として効果的だろうと考えています。これをお読みくださっている企業様には、ぜひ研修などを取り入れられることをお勧めします。
「言語化」とは?
ここで言う「言語化」とは、なにかを経験しているときに自分のなかで考えていることや感じていることを自覚し、言葉にしてみることを指します。
例えば、ハラスメントをした管理職のAさんの話しを聴いている時、
「Aさん、あなたはBさんに対して、『こんなこともできないなんて、頭がおかしいんじゃないのか?いつまでも半人前でいるなら、給料泥棒になるぞ。代わりはいくらでもいるんだからな。』と言ったそうですね。この時、あなたはどんなことを考え、何を意図していたのですか?」
と私から質問を投げかけたとします。
その時、Aさんはこんな風に答えました。
回答①
「普通、こんなことぐらい言われなくても分かるでしょ!?何度も同じことを教えてるのにちゃんとやらないから怒ったんですよ!」
この答えを聴いて、あなたはAさんにどういう印象を持ちますか?
では、もしAさんがこんな風に答えたら、どういう印象を持つでしょうか?
回答②
「本当はひどい言葉なんて使いたくなかったんです。ただ、半年以上前から同じことを教えているのに、いまだにちゃんとやれるようにならなくて、段々心配になってきて。
他の社員の目もあるし、周りからいじめられてしまうのではと思ったり、人事の評価もこれでは良くない結果になってしまうと思ったり。
そろそろこれくらいできないと、うちの会社ではやっていけないので、どうにかしてあげないと・・・と思って。それで、メモを取らせたり、周りの社員とも一緒にやってみたり、写真を撮らせて分かりやすくするとかの工夫もしてきたんです。
それでもこんな調子なので、周りの想いも分かっていないのではと思って余計に心配になったり腹も立ってしまって・・・。
私はいったいどうしてあげたらいいのでしょうか。」
最初の印象となにか変わりましたか?
ひどい言葉をつかった事実は変わらないし、それ自体は良くないことですが、この方もかなり一生懸命だったことや、その方や周りのために悩んでいたこと、良いところもあるのだということが分かりますね。
回答①の場合、
「Aさんは全然分かってないな。これはしっかりと理解させてやらなければ」とか
「なんてひどい人なんだろう。こんな人が管理職だなんて、失格だ」
などと考えてしまいませんか?
その結果、こちらも威圧的になって
「Aさん、そもそもあなたは管理職としての自覚が足りませんよ!一体何を考えているんですか!?」
とエスカレートしていきそうですよね。
Aさんの印象としては、瞬間湯沸かし器のように怒りやすくて怖い人だとか、部下を大切にしない人だと思ってしまいそうです。
エスカレートして感情は一時的にすっきりしても、根本の問題は把握できず、再発防止の対策も立てられません。
回答②の場合はどうですか?
「暴言はよくないけれど、Aさんはかなり熱心に指導をしてきていて、それでも困っているのだな。」
「Bさんだけでなく周りのことや評価のことまで広く考えているし、決して短絡的にやってしまったわけではないことがよく分かる。これはこれで、どうにかしてあげないといけないな。」
なんて思えませんか?
指導に熱心だけど、問題をひとりで抱え込みやすい人、という印象でしょうか。
そうなれば、Bさんの育成について他の人たちも関わったり、アドバイスをしたり、場合によっては適材配置を検討しなおすなど、必要な対策を考えていけるはずです。
このように、言語化とは、回答②に見られるように、ある事象を起こした理由となる部分、つまり自分のなかで感じていたことや考えていることを自覚して言葉にして表すことであり、言語化ができていることで、問題が大きくなったり間違った方向に走ってしまうことなく、解決の糸口が見つかりやすくなるのです。
「言語化」できない理由と「言語化」できるために必要なこと
ではなぜ①のような回答になってしまうのでしょうか。
私がこれまでいろんな方々の相談を聴いてきた経験から言えるのは、こうした①のような回答をしてしまう理由に、『自分の本音や考えていることに目を向けるよりも、社会で一般的によく使われている表現や安易な言い回しを自動的に選んでコミュニケーションを取ってしまっている』ということが大きい気がします。
そのため、①のような回答だった場合には、こちらがしっかりと話を引き出して行くようにしています。そうしないと、ご本人も発言した通りのことが自分の意見や気持ちなんだと誤認したまま進んでいってしまうことになります。
ただ、いつも誰かが丁寧に話を聴き、本当はどんなことを考えていたのかを引き出してくれるというわけにはいきません。
そのため、ひとりひとりが少しでも自分のことに意識を向けて自覚し、それを言葉にして発信していくことが大切なのです。
でも、自分の中の考えや気持ちというものは、自分にとって当たり前すぎるため、慣れないうちは自覚がとても難しいのです。だからこそ、研修などで何度か練習してみるといいのではと考えています。
「言語化」を練習してハラスメント対策、メンタルヘルス対策を!
実際のヒアリングや面談において言語化をサポートしてみると、
「そうそう、本当はそれを言いたかったのよ」
「なんでそんな風に言葉にできないんだろう」
「一緒に話していると言語化できるけど、ひとりでは難しい。」
という感想をよくいただきます。
そもそも、普段から自分の言いたいことを意識して言語化でき、伝えられていたら、こんな風に問題になることが少ないはずです。
Bさんだって②のようなことをAさんから伝えられていたら
「Aさんは自分のことを本当によく考えてくれているんだな」とか
「自分では頑張っているつもりだけど、なかなか成長できないので、Aさんには一度ちゃんと相談しよう」
などと思うかもしれません。
または、AさんがBさんを心配する気持ちを自覚して周囲へ相談できていたら、もっとサポートが得られたかもしれません。
ちなみに私は普段、ハラスメントの事情聴取のときも、また、メンタル不調の方のカウンセリングのときでも、その方がその時に本当に考えたり感じていたことを言語化できるように、なるべく引き出して聴いています。
もしきちんと引き出せないままだと、結果を間違ってしまうことになり、人の人生が大きく変わってしまう可能性があるからです。やはり丁寧に引き出すというプロセスをはしょるのは絶対に避けたいものです。
企業の人事労務のご担当者様や部下とのコミュニケーションが必須の管理職の方には、相談を受けたり指導したりする立場として、相手の「言語化を引き出す」ということも実践していただきたいところです。
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ハラスメント対策だけじゃなく社員のメンタルヘルスにまで配慮した組織の取り組みが企業の生産性を上げるのに効果的です。
ハラスメント対策、メンタルヘルスケア対策の一環としても研修で「言語化」のコツを知って練習をしていくことをオススメします。
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