メンタル不調による休職から復職した部下への注意や指導方法
株式会社Sol La Chick(ソルラシック)代表の吉田です。ブログの更新がとても久しぶりになりました。
その間に色々なケースを経験させていただいたこともあり、ちょっとずつ発信していこうと思います。
もくじ
部下がメンタル不調から復職する時の上司の悩み
今回は、ラインケアを行う上司の方がよく抱えるお悩みについて、参考になることを伝えていきます。
例えば、部下がメンタル不調や障害が原因で休職した後に復職した際、うまく仕事ができていないという場合によくあるのが、
ミスが増えている
仕事が予定通りに進まない
他のメンバーがフォローに入り負担が偏っている
といった状況です。
上司としては、ミスが起きていたら通常は指摘したり注意しますし、予定通りに進まない場合はその度合いによっては指導をしたり叱責することも一般的です。他のメンバーへ負担の偏りが大きい場合などは、早くその状況を解消するように原因となっている社員と調整してもとの状態に戻していくのも当たり前の行為です。
しかし、一度メンタルダウンにより休職した部下に対しては、以下のような思いが湧いてきて、どうしていいか悩まれるようです。
例)
しっかりしてほしいが、注意するとまたメンタルダウンしてしまうのではないか。
部下が冷静に聴けないかもしれず、自分がハラスメント加害者として訴えられてしまうのではないか。
傷ついてしまうとまた休んでしまい、更に周囲の負担が増えてしまうのではないか。
自信を持たせたいので、注意はしない方がいいのではないか。
自己肯定感を育てるためにはなるべくできていることや得意なことをしてもらう方がいいので、できないことについても前向きな言い方で伝えるが、そうすると本人が「これでいい」「自分はできている」と勘違いしてしまい、いつまでもできるようにならず、どうしたらいいか分からない。
復職してきた部下にどんな風に指導や注意をすれば良いのか?
さて、大前提として上司の役割には部下を育てるというものがあります。具体的には、できないことをできるように導く、上手ではないことを上手にできるようにサポートする、ということですね。スタート地点が「現状=できないことがある、上手ではないことがある等」であり、次のゴール地点は「将来(○月までに)=できるようになる、上手くなる」です。
実際にゴールにたどり着けるように行動するのは部下です。上司は導くのが役割です。スタート地点からゴールまで一緒に進んでいこうとするなら、まずスタート地点とゴールを共有しておかないと始まりません。
注意や指導をする時には、まず最初にお互いの役割とは何か、そしてスタート地点とゴール地点を具体的に明確にしておくと、なぜ部下に注意・指導を行うのかがお互いに分かりやすくなります。
これは大前提の話しなので、それに加えて「部下がメンタル不調で休職した後に復職してきた状態」という条件が加わったときに、どうしたらいいかということになります。傷つけないように、意欲を落とさないようにする配慮は大切です。ただし、相手は「健康を取り戻して通常通りに働けるから復職してきた」ということを思い出してください。
通常の注意や指導に耐えられない状態ならば、まだ再休職すべき健康状態と言えます。もしここで再休職してご自身の特性を理解した上でコントロールして働けるようにならなければ、その部下はいつまでもきちんと働けるようになれません。その方が、部下の人生にとっては大問題です。(通常の指導や注意に耐えられないようであれば、早めに本人や人事と話し合い、ダメージが大きくなる前に再休職を勧めましょう。)
復職した社員に対する適切な配慮の範囲はどこまで?
では、「通常通り働けるまでに回復した復職者に対する適切な配慮の範囲」については、どう考えたらいいでしょうか。
注意や指導すべき内容や基準は、他の部下と同様です。できていないことがあれば、事実を伝えましょう。どういう点が問題なのか、いつまでにどうすべきかなども、オープンに話しましょう。
通常通りに働けるレベルに回復したと言っても、久しぶりに行うことについては少し忘れていることがあったり勘が鈍っていることは、誰にでもあります。また慣れるまではどうしてもテキパキとスピーディーにできないこともあります。慣れるまでは、いつもより疲れが出てしまったり、そのせいで少し思考が鈍ったり、気持ちが落ちてしまうこともあります。薬のせいで以前よりも少し、思考がスッキリしないなどもあります。
そういうことを踏まえて、できていないことや目指すゴールはごまかしたり曖昧にせず明確に共有しながらも、なにがうまくいかない理由になっていたのかなど、部下の話をよく聴くことがとても大切になります。配慮は一律ではなく、個別性が高いものなので、よく聴くことで必要なことが見えてきます。
上司は導くのが役割なので、「ゴールに向けて導くために必要な情報を部下からもらえるまで」、丁寧に聴いていくのがポイントです。また、一度の話しで全てが見えないこともあります。お互いに焦らずに、少しずつ理解しあってゴールに進んでいくイメージを持てると、余計なストレスを感じずに過ごせるのでおススメです。
ということで、指導や注意は通常通り行うことが大切なこと、また配慮すべき点は「再発したり悪化させないためにどうするか」ではなく「久しぶりのなかで、どうすれば健康な状態を維持しつつパフォーマンスを戻していけるか」にあることを理解していただき、部下の方といい仕事をしていただきたいと思います!