メンタル不調や休職明けの部下に注意や指導をする時の準備
株式会社Sol La Chick(ソルラシック)代表の吉田です。
先日のブログで「メンタル不調による休職から復職した部下への注意や指導方法」についてお伝えしました。
本日はその続きとしてお読みください。
もくじ
部下の復職時に上司が安心して面談できるようになる秘訣
メンタル不調やそれによる休職から復職してきた部下に注意や指導をするときに上司の皆さんが気にされることとして、以下のようなことが多いようです:
伝えることでメンタルダウンしてしまったらどうしよう
いじめやハラスメントだと誤解されたらどうしよう
お互いの関係が悪化してしまわないか心配
自然な会話というのは、自分が発した言動に対して相手なりに解釈をして返事をしてきて、それをまた自分なりに解釈して返事をすることの連続です。お互いに解釈は自由なので、自分の狙いとは異なる解釈になることもあるし、解釈したことをベースに発想したことで話が別の方向へつながることもよくあります。大体はそれで問題なくコミュニケーションが取れて問題になることもありません。
では、心配しているようなことが起きてしまうのは、どういう時でしょうか。
こういう時に共通するのは、自分の狙いとは全然違う解釈をされてしまうという点ですね。それを防ぐには、自分がどういう意図で伝えているのか、それを伝えることでどうしたいと考えているのかを、シンプルに相手が分かりやすいように先に伝えることがポイントです。
私がよく上司の方にお話しを聞く際に、
「それを注意する目的はなんですか?」「それを伝える目的はなんでしょう?」
と質問をすると、スパッと回答できる方はとても少ないです。
「実はこういうことがありまして、それ以前にもあんなこんながありまして、そもそもこの方はあーでこーで、、、」
なんていう話が始まってしまうことが大半です(笑)
まず、10人が聴いたら10人とも解釈がズレないほどシンプルに、あなたが注意指導する目的を書き出してみましょう。
例えばこんな感じです:
・仕事のペースが遅いまま以前のペースに戻れておらず、計画に影響が出ているため、ペースを早めて計画通りに進めてほしい。
・たまに遅刻しているので、遅刻によって起きる問題を理解して、遅刻をしないようにしてほしい。(突発的な事故などは除く)
・他のメンバーとの連携ができておらず、他のメンバーが不愉快に思っているので、連携できていない原因を一緒に考えて具体的な連携方法を見つけたい。
伝える時も、できるだけ言葉を変えずにシンプルに伝えましょう。
「○○さんも努力していると思うし、それは私も分かってるし、今すぐにという訳でもないんだけど、やっぱり色々と考えるとよくないと思うし、完璧にできなくてもいいから、、、」
なんていう言葉を混ぜていくと、相手にとっては「じゃあ今のままでいいじゃないか。一体何のための話し合いなんだ」となりかねません。
相手の心情に配慮したいのであれば、それもシンプルに伝えます。
「今日の話しの目的は~~~~~~~~です。あなたにとっては不愉快に感じるかもしれないし、それでメンタルダウンしないかなど、私も心配です。あなたを責めたり困らせたいのではなく、このままではあなたにとっても良くないので、どうしたらいいかを前向きに考える場として受け取ってくださいね」
などを、温かくもしっかりした口調で伝えましょう。
こちらが不安になり過ぎたり、心配して自信のない口調になると、相手は敏感に感じ取り、指導している側に問題があるのではという気持ちになっていきます。すると部下としても指導内容に集中できず、自己防衛や上司側を非難したり攻撃する材料を探し始めるように誘発しかねません。そうなると、一緒に目的に向かって進む協力関係を作るのは難しくなります。
そうならないためにも、自信をもって伝えることが大事であり、自信を持つためには「間違いない。これが正しい」と思えるまで自分の中で整理しておくことが重要なのです。その面からも、ぜひ目的をしっかりと整理してシンプルにまとめておきましょう。
途中で違う話にそれてしまった場合にも「目的」が助けになる
また話しの流れによっては、当初の目的と違う話題になってしまうことがあります。
そんな時には、「まずは今日の話をきちんとまとめてから、違う話をしましょうね」と方向修正をして、きっちりと進めることも必要です。
事前に目的を明確にしていないと、流れに流されて終わってしまい、なんとなく注意したつもりなのに、相手は分かっていなかったということになりかねません。話の途中で「あ、いま違う方にそれかけているな」と気づくためにも、自分の中で目的を北極星代わりにできるようにしておきます。
ちなみに、どんなに配慮をして伝えても、そのまま受けとめられず、自分が責められていると受け取る人もいるかもしれません。ついネガティブに受け取ってしまう癖があると自覚できているようであれば、こういう時こそサポートするから乗り越えて行こうと支えることが大事です。逆にこれが理由で更にメンタルダウンにつながったり、パフォーマンスの低下や勤怠への影響が出るようならば、再度休職して注意を受けたら改善するという当たり前のことができる状態にする方が優先になります。
話し始める前に目的を明確にし、話しの途中でも伝えていることの解釈がズレてないか確認を度々挟み、話を終える時にも再度自分の伝えたかったことが正しく解釈されたかどうかを確認しましょう。
面談はコミュニケーションの癖に気づくチャンス
最初は慣れない作業かもしれませんが、何度も行ううちに、自分のコミュニケーションのとり方の癖のようなものが見えてきます。
案外、自分から話を逸らしてしまったり、楽しそうな話題に飛びついて本題を忘れてしまったり、配慮し過ぎて言いたいことを言い切れず引き下がっていたり、、、
そんなことに気付けたら、自分も上司として成長させてもらうチャンスだと思って、自分なりに練習していくのもいいものです🎶
部下も上司も完璧な人はいないので、こうしてちょっとずつやれることをやっていき、いつの間にか変わっていけたら素敵だなと思います。