ハラスメントのない職場、メンタルヘルス不調のない職場に共通するたった1つのこと
こんにちは。ソルラシックのスタッフ・奥村です。
今日は、ハラスメントのない職場やメンタルヘルス不調のない職場に共通する『あること』が、実は強い組織をつくる秘訣だよということと、それを実現するにはどうしたら良いか?ということについて書いています。
もくじ
人事の悩み『コミュニケーションをよくするためにはどうしたらいいか?』
最近、とある企業の人事の方がこんな事を言ってました;
『上司と部下のコミュニケーションが大事だということは分かるが、コミュニケーションを良くするにはどのようにしたら良いのだろうか。』
そこで思ったのは、
「コミュニケーションの方法」に気を取られて、大事な「コミュニケーションの必要性」を理解されているのかどうか?という点でした。
職場でコミュニケーションが必要なのは、どうしてなのか?
この点、いろいろと難しく考えてしまっている方が多いのではないでしょうか。
コミュニケーションを良くしていけば、
・仕事の報連相も活発になり、齟齬が発生せずに事業が円滑に進む
・会社の方向性が全社員に浸透し、同じ目標に向かって進めることができる
・部下の仕事のやり方やその成果も良く分かるため適切に評価もできるようになる
・チームワーク良く仕事が回る
などなど
いろんなことが言えるとは思います。
そして、それらのどれも良いコミュニケーションから得られる副産物であることは確かなんですよね。
でも、こんな副産物があるんですよ!だからコミュニケーションって大事なんです!
というのを個人レベルに落とした時に、果たして一人一人がその重要性を肌感覚鋭く、感じ取っているでしょうか?
きっと「へぇ~ そうなんだ。大事なんだね。」と納得はしていただけると思います。
そして、次の瞬間、
それはさておき仕事しよう!
お昼だ~ 今日は何を食べようかな?
今度、研修があるらしいから、どうやったら良いのか教えてもらえるんだよね。
・・・・
こんな風になりませんか?
『コミュニケーションを円滑にする方法』については、どこか他人事なんです。
誰かに教えてもらい、それに習ってやっていけばコミュニケーションが図れると思っている方が少なからずいるように感じます。
コミュニケーションを円滑にする方法について考える
先の人事の方もそうだったのかもしれません。
『コミュニケーションが良いことでメリットがたくさんあるのは知っている。一方で、現在の社内はコミュニケーションが円滑に行われていない。組織的にどうやったらコミュニケーションを良くしていけるのか?その方法を知りたい。』
そうおっしゃっているように感じました。
話は変わりますが、皆さんは職場でこんな体験をされたことはないでしょうか?
【上司の立場で】
- 部下からの報連相が適切なタイミングであがって来ない。
- 部下に仕事のことで話をしようと思ったら、もう帰宅していた。
- 部下との年齢差があり、部下の世代が一般的に何を考えているのか分かりにくく、仕事の指示や事案の対応がこれで良いのか?と上司として悩むことがある。
- 昔は、上司が部下に厳しく指導をして上司の背中を見て部下が育つ文化だったが、今の若手社員に同じことをすると、ハラスメントと言われそう。指導の仕方に悩んでしまう。
- YesなのかNoなのかをハッキリしない部下に、つい説教したくなる。
【部下の立場で】
- 仕事の案件を上司に相談したいと思ったけど、上司が忙しそうで相談するタイミングがなかなかない。
- 上司の指示を仰いでから次のアクションを・・・と考えているのに、なかなか上司から指示が下りてこないで待ちぼうけを食らっている。
- 皆が忙しそうにしていて職場で会話がなく、結局一日中、誰とも話をしないで帰宅した。
- 会話がChatだけのため、文字情報から相手の感情を読み取りにくい。誤解した捉え方をしてしまいそうだし、自分のことも誤解されたことがある。
- 『ご意見をお願いします』と何名かの社員にメールで一斉送信。しかし、誰もがシーンとしており返信が来ず、困った状況にしばらく悩む。
これらの現象がある職場で働いていることを想像すると、自分が上司の立場でも、部下の立場でも、多少なりとも『働きにくい職場』だと私なら感じるだろうなと思うのです。
遠慮も見えるし、怖気づいている感じも受け取れますよね。
言い換えれば、個々の事象が解決されれば、働きやすい職場になるということ。
それってとても難しいことなのかな?
状況を変えられないものなのかな?
と思うわけです。
結論として、
おそらくそれらは解決できるのではないでしょうか?
コミュニケーションが円滑で働きやすい職場へ変わる秘訣
私が思うに、解決するのに必要なのは、
✅自分で一歩踏み出す勇気
✅相手への思いやり
この2つを持って【相手と会話すること】だと思います。
例えば、
上司が忙しそうなら
『お忙しいところすみません、急ぎの案件で、ちょっとだけお時間をいただきたいのですが、いつならお時間よろしいですか?』
とコミュニケーションをして(一声かけて)みる。
そんな風に声をかけたら『いま忙しいのわかっているだろ!後にしてくれ!』なんて、上司がイライラして相手にしてくれないかも。。。
そんな想像をして尻込みしちゃいますか?
でも、人間の反応としては忙しい時に声をかけられてイライラすることって、往々にしてありますよね?ちょっとくらいイラっとされることも予測しておきつつ、急ぎの案件なら一声かけてみてもいいんじゃないか?と思うのです。
少しだけ勇気を持って一歩踏み出すのです。
案外、その時はイラっとされても、後々『さっき言ってた話ってなに?』と上司の方が気にしてコミュニケーションして(聞いて)くることもあると思いますよ。
そしたら、お話が先に進みますよね。
もし声をかけた時に上司から時間指定がなかったり、しばらくたっても何も言ってこなかったら、めげずにもう一回(といわず何度も!)上司にコミュニケーションして(投げかけて)みれば良いのです。
ただその時には、多忙な上司に配慮して、あらかじめ相談したいことが短時間で済ませられるように論点を分かりやすく整理してから相談するという思いやり(工夫)も大事です。
そんな風になんども上司への問いかけをしていくうちに、お互いの傾向が分かってきます。
上司は『あ、これはAさんが気にかけやすいから、今のうちに言っておいた方がいいな・・・』とか事前に思えるようになったり、
部下Aさんは、上司に今なら声かけてもOKだ、とか、今はダメな時だ・・・というのが分かって、阿吽の呼吸ができるようになることも!
そうして、上司と部下とのコミュニケーションが円滑になるものです。
また、例えば
部下から報連相があがってこない・・・と感じている上司の方は、部下が慣れるまでは報連相が欲しいタイミングで部下にコミュニケーションをとる(声をかける)のが良いと思います。
『この件は今日までに報告してくれると助かるのだけど。なぜなら●●●だからなんだよね。こっちもそれをちゃんと言っていなくて申し訳なかった。そういうことで、今後はこの類の案件は●日までに報告をよろしく頼みます!いつもありがとう。』
などと部下への教育をしながら自分が報連相を欲しい案件と欲しいタイミングについて部下にコミュニケーションをとる(伝え続ける)努力というのも必要だと思うのです。
人によって報連相が得意な場合と得意じゃない場合があります。
特に遠慮しがちな人や、対人スキルの弱い人は内にこもってしまい、報連相をしたいと思ってもなかなか勇気が出ないということもあり得ます。
また、そもそも、その案件は報連相が必要なものだという認識が無かったということもあると思います。
いろんなケースがあることを想定して、まずは部下にコミュニケーションをとって(声をかけて状況を伝えて)今後のお願いをする。そしていつもお仕事をこなしてくれていることに感謝を伝えて思いやる。
そんな方法ならお互いに歩み寄れる良い関係も築けそうですよね。
上記は2つの事例だけですが、
どちらにも何度も登場するのが『コミュニケーション』という言葉でした。あとに続くカッコ内の言葉を全て置き換えてみると、コミュニケーションになるのです。
上司の立場や部下の立場で経験したことがある“働きにくさ”を感じた各シーンの全てにおいて、
✅自分で一歩踏み出す勇気
✅相手への思いやり
を根底に持った会話・投げかけさえできれば、解決できることだと思うのです。
そしてこれこそが、『コミュニケーションの円滑化』につながる秘訣であり、大事なことですよね。
組織的に取り組むのか?を考える
それで、今一度考えてみると、どうでしょうか?
自分で一歩踏み出す勇気(自ら解決するという意志)と相手への思いやりを持って話をしていくことでコミュニケーションをはかる。
このような方法は、
冒頭で人事の方が望んでいたような『コミュニケーション円滑化の仕組みとして組織的に取り組むこと』でしょうか?
ちょっと違いますよね。
もちろん、組織としての仕組みづくりで多少はコミュニケーションが円滑になります。
一昔前でしたら『飲みにケーション』を取り入れるというのもコミュニケーションの円滑化につながる組織的な取組みでした。
しかし、いくら飲みにケーションをしても、日常の仕事場で相手への思いやりのある言葉がけが無ければ、職場での関係性があまり捗らないでしょう。
コミュニケーションがなぜ必要性か?と問われた時に、先に掲げたような
・仕事の報連相も活発になり、齟齬が発生せずに事業が円滑に進む
・会社の方向性が全社員に浸透し、同じ目標に向かって進めることができる
・部下の仕事のやり方やその成果も良く分かるため適切に評価もできるようになる
etc…
と難しく考えるのではなく、
『コミュニケーションって大事だよね。なぜなら、自分自身が働きやすくなるから。』
と自分にとって仕事をするなら絶対に必要なことだと思える理由に落とし込めていると自分事として捉えてアクションを起こしやすくなるはずです。
いつまでも他人事だと、
組織でなんとかしてください!とコミュニケーションの悪さを組織のせい、職場環境のせいにしてしまい、一向にコミュニケーションが改善されません。
社員一人一人にそれを気づいてもらうためには、
まずは経営者であり人事であり、その必要性に気づいて組織的になんとかしなきゃ!と思っている人達が、組織ではなく個人レベルで行動を起こすことから始めることが必要なのだとも思います。
ハラスメントが起きにくく、メンタル不調になる社員も少ない職場の共通点
そして、さらにお伝えすると、
コミュニケーションの円滑な会社では、ハラスメントが起きにくく、そして、メンタル不調になる社員も極端に少ないのです。
言い換えれば、ハラスメントのない職場、メンタルヘルス不調のない職場に共通するのは『コミュニケーションを基調とした働きやすさがあること』
やはり、コミュニケーションはお互いの『人となり』が分かり、人間関係をつくっていきやすくなるので、ハラスメントが起きにくくなるだけじゃなく、ストレスや悩みにも気づける人間関係ができているために、自然とメンタル不調に陥る社員も出にくくなります。
心地良い職場、働きやすい職場というのは、そこで働く人たちの関係の良さを象徴するものだとも言えます。
そのため、私たちはハラスメント対策やメンタルヘルス対策のコンサルティングや研修をさせていただく時に、『働きやすい職場づくりのために』という視点を持ってお客様企業にお話をしてます。
だれもが『働きやすい職場』が良いと思っているはずで、その『働きやすさ』をもたらすものこそ、社内のコミュニケーションなのです。
残念ながら転職していく社員の方の多くは、自社で人間関係が上手に構築されていないがために感じる働きにくさから、『働きやすい職場』を求めて他社に出て行ってしまうのです。
そのような事実は、厚生労働省がおこなった雇用動向調査の結果からも数値として見て取れます。
◆転職入職者が前職を辞めた理由
男性 |
|
第1位 | 給料等の収入が少なかった |
第2位 | 職場の人間関係が好ましくなかった |
第3位 | 会社の将来が不安だった |
女性 |
|
第1位 | 職場の人間関係が好ましくなかった |
第1位 | 労働時間、休日等の労働条件が悪かった |
第2位 | 給料等の収入が少なかった |
男女ともに上位3位内に入っている『職場の人間関係が好ましくなかった』という転職理由は、まさにコミュニケーションのない職場=職場の人間関係に支障がある=働きにくい職場
を表していると思います。
会社の宝である人財の流出を阻止するためにも、コミュニケーションが大切だということがよく分かりますね。
社員という人財を大切にしていく社風に変わり強い組織にしていくために
職場の人間関係に悩み、転職しようと決めた社員においても、自分で一歩踏み出す勇気と相手への思いやりを根底に持った会話・投げかけをすることで自らが職場環境を変えられると気づいていたら、そして、職場全体でそのような人間関係の築き方ができる風潮になっていったら、転職しなくとも、自社でもっともっと活躍できたかも知れないのです。
個人個人に落とし込むと、一歩踏み出す勇気が必要だとは思います。
しかし『人間関係を良くしたい』『もっと働きやすい職場にしたい』と思っているならば、組織的な取り組みに期待するよりも、各自が思いやりをもって会話し、接していく第一歩を自ら踏み出すことから始めないと何の変化も起こらないのは事実です。
そして、コミュニケーションが大事だと分かっている経営者や人事担当者の方は、まずは自分ごとに落とし込んでいただき、率先して実践をしていくことで働きやすい職場づくりへ向けて他の社員を巻き込んでいけると思います。
そうすればきっと誰もがうらやむ強い組織になれると信じています。